オンラインバンキングを活用した不動産決済
不動産決済でオンライン送金も実施可能です。決済実務において、スマホなどオンラインで対応するケースは多くなっています。
オンラインで決済をする場合は、金融機関の機能で「送金限度額」「『至急扱い』の可否」をご確認ください。
代金や諸費用では、通常は現金でやり取りする項目に注意してください。「売買代金の一部」「登記費用」「仲介手数料」等の対応です。
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author:春日秀典
目次
オンラインバンキング利用する際の注意ポイント
オンラインバンキングを活用した不動産の決済は可能です。近頃は、フラット35やネット銀行など、従来型とは異なる金融機関の住宅ローンが多くなってきたため、銀行の店頭からの送金のほか、オンラインバンキングを活用する機会が多くなっているのが実情です。
送金限度額の設定
個人の送金限度額は50~100万円になっていることが多いのではないでしょうか。このミスが大変多くありますので、特に注意が必要なポイントです。不動産取引では高額送金を行います。筆者の経験では前日に気づいたなどにより、幸いアクシデントを逃れましたが、送金額・送金件数が取引に対応できるか、必ずご確認をお願いします。
この点は一般的な従来型の銀行は、書面による申し込みが必要なようです。ネット銀行は手軽で、送金限度額の引き上げはオンラインで直ちに可能な銀行が多いようです。
至急扱い
不動産の取引では売主側の口座に着金が確認できないと権利証を渡してくれません。そこで、不動産の売買決済では、「電信扱い」のなかでも、とくに、「至急扱い」を活用します。これならすぐ着金することが可能です。一般的な銀行では「至急扱い」といいますが、これができるかどうかが重要です。
どのオンラインバンキングでも至急扱い仕様であることがこれまでの筆者の経験です。ただ、すべての銀行でそうなのかは知りません。確実に至急扱いになるかどうか、しっかり確認しましょう。
なお、至急扱いではない単なる電信扱いですと、その日の営業時間中は着金するという取り扱いとなります。着金のお時間が読めないということは、決済終了の時間が読めません。実際に振込の挙動で試してみて、相手先の口座が表示されるのであれば至急扱いとなると思いますので、確認を怠らないようにしましょう。
現金金種を希望する場合
支払い方法・資金種別のことを、この世界の用語で「金種」と言います。売主の事情によっては、代金の一部の金種を現金で希望する場合があります。オンラインによる送金では銀行の店頭を利用しませんので、そのままだと手持ちの現金がない場合があると思います。
商談により売主が現金の交付を希望する場合には、別途、現金を持参する必要があるかもしれませんので注意しましょう。金種はとくに確認を怠らず、あらかじめ売主に理解を求めていただく必要があります。
送金できない場合
今までの経験では送金ができなかった事態はありませんが、そのような事態がありますと、その時点で取引は後日延期となります。後日延期となりますと住宅ローンの契約は覚書の再締結、売買契約も同様です。大変な事態で、まさに「地獄」となります。これは、ひとえに送金する側のミスで、生じた損害等も送金者側が負担します。不動産業者・仲介業者は窓口の対応が経験的に読むことが可能な銀行の店頭を推奨すると思います。ただ、注意ポイントは上記の3点だけですので、しっかり注意をすれば問題はありません。しかし不安でしたら一般的な銀行を活用しましょう。
決済場所
決済では資金の送金以外でも、引き渡いに関連する書類の記入や点検、各種説明、手続きが行われます。落ち着いた空間であることが必要で、できればコピーなどがある環境が望ましいです。
不動産業者の店頭など
一般的な銀行の住宅ローンなら銀行の店頭で決済をおこないますが、オンラインバンキングでは、このような場所がありません。決済は、できる落ち着いた空間である事務所などで行うことが基本ですから、不動産業者の応接室、司法書士事務所の応接室、売主・買主の自宅や勤務先、ローン代理店の店頭(銀行ではありません)などで行うことが多いと思います。
経験的には、不動産業者の応接室が多いでしょうか。変わったケースでは、大規模マンション(タワーマンション)の接客ラウンジ、売買物件の室内、喫茶店といったケースもありました。これらも、関係者が合意をすれば実施可能です。
ローン代理店の店頭
ローン代理店を通した融資の場合はローン代理店の接客室を使うことを依頼できます。ローン代理店は銀行ではありませんので、資金があるわけではありません。扱いとては、不動産業者の店頭で行っているのとな時状態です。