契約不適合責任と免責

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契約不適合責任とは、物件の種類が契約書等(重要事項説明書、状況報告書等・・・)に書いてある内容と異なっていた場合に、売主が負う責任のことです。(民法562条)

契約不適合責任においては、買主は「追完請求」(562条)、「損害賠償請求」(545条)など、5つの方法(※)で追及きます。不動産業界の契約書の標準フォーマットでは、以前の「瑕疵担保免責」と同等の内容にするため、追完請求(修理など)を原則とし、追完をしない場合に損害賠償請求とする流れにしています。

契約不適合責任を免責とする条項も有効です。この場合は、わかりやすく言えば「契約書などに未記載の欠陥があっても修理をしない」ということですので、契約時には注意が必要です。

※ほかに「代金減額請求」(563条)、「催告解除」「無催告解除」(541~542条)

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末尾でご案内していますが、、買取業者への売却は、契約不適合責任の物件を売却するにあたり、現実的な対応となるかもしれません。

契約不適合責任

契約不適合責任とは

「契約不適合」とは読んで字のごとく、「目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないこと」です。このような場合、民法では、契約不適合責任の定めがあります。

改正民法では契約不適合状態がある場合、売主は買主に対して責任を負わなければなりません。改正民法では、売主に対し,損害賠償請求や解除のほか,修補や代替物の引渡しなど完全な履行を請求することや,代金の減額を請求することができるようになりました。旧民法では、どのような場合に修補や代替物の引渡しなどの完全な履行を請求することができるか否かについては争いがありました。また、代金の減額を請求することは限られた場合にしか認められていなかったという違いがあります。

もっとも、不動産流通の現場・実務においては、従来の売買契約のひな形との一貫性を持たせるため、新民法下の売場契約書のひな形でも、契約不適合責任については「修補」のみに限り、「債務不履行」や「履行遅滞(修補責任の遅滞を含む)」の場合において、損害賠償になるという定めににしているようで、実務上は、このようなカタチで事例が積み重ねられていくものと思います。

なお、契約不適合責任の期間は無期限ではありません。新民法の定めでは第566条において契約不適合状態を発見してから1年以内の請求を求めています。(「買主がその不適合を知った時から一年以内にその旨を売主に通知しないときは、買主は、その不適合を理由として、履行の追完の請求、代金の減額の請求、損害賠償の請求及び契約の解除をすることができない。」との記述)。また、但し書きにおいて、「売主が引渡しの時にその不適合を知り、又は重大な過失によって知らなかったときは、この限りでない。」との記述があります。つまり、契約不適合状態を発見してから1年以内に「追完の請求」「代金の減額の請求」「損害賠償の請求及」「契約の解除の請求」をしなければならないとの記述があります。

もっとも、旧民法下の不動産売買契約の実務においては、「建物の構造上重要な部分等につき、引き渡しから3~6ヶ月の瑕疵担保責任を負担すること」を取り決めることが一般的でした。新民法用の不動産業者団体で推奨する売買契約のひな型においても、同様時の条項は継承されており、一般に流布していくものとみられます。そのため、通常の売買契約においては、3か月程度の期間に欠陥が発見された場合は、売主は契約不適合責任があるものと考えておいて差し支えないでしょう。

なお、当事者間の合意で契約不適合責任の免除を取り決めることもできます(後述)。

契約の内容の明示

改正民法では目的物が契約内容から乖離していることに対する責任(契約不適合責任)がポイントですから、物件が適合すべき「契約の内容」(改正民法562条)を明確にすることが有用であり、契約上要求される品質等を明確にすることが、今後より重視されるようになると考えられます。

もっとも、物件の品質を契約書の限られたスペースでは記載することが困難な場合もありますので、「状況報告書・告知書」「別紙仕様書」によるという形で明示することも考えられます。より慎重に進めるには、「建物状況調査」によって報告された事項を添付する方法もあります。

建売住宅・リノベ住宅では買主有利

リノベーション物件などの契約不適合責任

リノベーション物件などは、多くの場合、不動産業者・リフォーム業者が売主となっています。不動産業の免許を持つ業者が売主で、買主が一般の個人の場合、売主は契約不適合責任を必ず負います。この責任は免責にできません。これは宅地建物取引業法40条の強行規定によります。

宅地建物取引業法40条の規定では、土地・建物すべての隠れた瑕疵について、引渡し後、最低2年間は担保の責任を負うものとされています。現行法の文言では「瑕疵担保責任」とされていますが、解釈においては「契約不適合責任」と読み替えるものと通達されており、やはり売買契約のひな型においても、同様時の条項は継承されています。

なお、不動産事業者などは専門の事業者に該当しますが、ここでいう専門の事業者とは、不動産業者の免許を有したリノベーション業者、建売業者などが該当します。

新築物件の契約不適合責任

新築物件ではさらにこの点のバックアップが付加されています。『品質の確保を促進する法律』という特別法で、10年間の保証が義務付けられています(いわゆる「10年保証」)。10年もあれば構造的な欠陥も出てきて、おおむね物件は大丈夫だろうという考えもあるようです。

売主の契約不適合責任と「仲介手数料無料」との関係について

仲介手数料無料の対象となる物件は、多くの場合、リノべマンションや建売住宅です。上記のように、リノベマンションや新築物件は、売主による契約不適合責任があります。つまり、仲介手数料無料の対象となる物件は同時に売主により瑕疵の責任がある物件となるのです。リノべマンション、建売住宅をご購入されるのであれば、大手・中小など関係なく、当社のような仲介手数料無料を対応する仲介業者から購入するのがオトクと言えます。

個人間における契約不適合責任免責での売却

個人への売却も可能

契約不適合責任免責での売却は、個人の間での売却でも適用することが可能です。「個人である買主」と「個人である売主」との取引です。個人間売買においては、契約不適合責任を特約により免除することができます。契約不適合責任の免責の契約では、原則的に売主は責任を負いません。

このような記述があると瑕疵担保特約のある物件は「いわく」の匂いがするので惹きつけられる方も多いのですが、実際には「いわく」ではありません。ただ、実際に欠陥等が生じると、予期しない多額な出費を強いられるなど悲惨なことになります。なにより、売主さんが将来の出費の可能性をおそれているので、あえて価格が低くなる契約不適合責任の免責という選択をしていることもあります。十分注意しましょう。

したがって、契約不適合責任免責での売却が多く利用されるのは、事情がある取引が多いようです。たとえば任意売却などです。

個人相手の契約不適合免責はトラブルの元

建物で欠陥が生じる場合、一戸建てなら雨漏り、マンションなら配管が非常に怖いです。しかし、以下の知恵袋ページのように、そもそも「契約不適合免責(瑕疵担保責任)」の意味を解らないまま、ただ安いという理由で買ってしまう個人もいます。背後には、十分な説明をしないで売りつけてしまう不動産屋さんもいるのだと思います。宅建士といえど、誰しもが大学の法学部を出ているわけではありません。法律論を一から掘り出して、解きほぐして説明できる不動産屋さんなど、意外と少ないものです。

中古住宅の瑕疵担保責任について教えてください・・・

一方、売り手は何かしらの事情があることが一般的です。よくあるケースでは、破産直前で、資力がないため売却に伴う責任が果たせないことが一般的です。たとえば、メンテナンスがおざなりである場合も多いようです。雨漏りが出たがどうしたりいかなどは、相談サイトなどではよく見かけます。そのため、従来の瑕疵担保免責の売買では一般相場よりも安い傾向はみられましたが、契約不適合責任の免責の物件でも同様の傾向になると思われます。

買取業者への売却が現実的

契約不適合責任の免責の契約は買主にリスクがある契約ですので、簡単に一般的な個人は寄り付きません。個人の場合には、リフォームを前提として、心理的瑕疵を気にしない個人などへの売却が中心となります。、物件・室内がボロボロでも、フルリフォームを前提を前提としていて、リフォーム後のイメージを考えられる人、建築・不動産などの職業の方、独自性のあるリフォームをしたい人などであれば十分なターゲットになります。リスク回避的な行動が多い日本人の場合ですと、契約不適合責任の免責の物件は、いわゆるプロや知識がある方が買い手になるのが一般的で、個人として買うことができるは、不動産取引の実務経験がある個人か、セミプロのような人が多くなります。

すると、おのずと売値は低くなりがちです。

したがって、買取業者への売却は、契約不適合責任の物件を売却するにあたり、現実的な対応となるかもしれません。高めに売ろうとする場合には通常の売却がいいでしょう。詳しくは「契約不適合責任の免責で売却する」でご紹介しています。

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この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。ヤマト住建(株)等OB。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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