「居住中物件の売却」傾向と対策

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魅力を引き出す室内の施策として、室内の清掃、整理整頓などは進めましょう。売りたいあまり、アピール感が強く出てしまってはいけません。

依頼先の業者は空室のときよりも機動的に動く必要があります。遠方の大手に依頼するくらいなら、近隣の中小業者のほうがいいでしょう。

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居住中の売却のメリットとデメリット

居住中の物件はターゲットの門戸が狭くなる分、いくらか期間を長めに考えたほうがいいかもしれません。「あらゆる困難を排除しても空室にすべき」ということはありません。基本的な売却の流れは同じですが、居住中の売却に特有のメリットデメリットを整理してみたいと思います。

売主にとってのデメリット

「内見予約がいつ来るのか」という心理的、時間的な負担はデメリットです。来なければ落胆も大きいですし、来たら準備も大切です。この心理的なアップダウンが、少し辛くなると思います。

また、実際の内見では複数の見知らぬ人を家にあげることになります。見られるのが微妙なところ(収納内部、水周りなど)を見せる必要があります。これは、心理的な負担です。

セールス面においては、売主の休日が原則になりますので、内覧に対応できるタイミングが限られます。これにより逃す買主というのは確実に出ます。

アクセスを制限すれば、より広くアプローチすれば届くはずだった客層には届きません。居住中の冷やかし的な見学は少なくなりますが、冷やかし的な見学を失えば、偶然の縁を失います。結果として、申し込みが入る確率が下がり、本来的な価値よりも販売が遅くなるか、割安での売却になります。

適正価格の場合の経験的な集客ペース
物件タイプ 集客ペース 販売期間
空室物件 1週間に1組 3~4か月で売却
居住中物件 2~3週間に1組 6~8か月で売却

買主にとってのデメリット

居住中の物件の内見は生活感や使用感があり、見られるのが微妙なところを見なければなりません。遠慮なく見てほしいと思っても、買主は遠慮しがちになり、集中してみることができません。

そもそも、売却の事情は必ずしも幸せななものとは限りません。離婚、事業失敗、健康を悪くしたなど、苦しい事情での売却もあります。このような物件の場合は、必ずしも歓迎ムードで出迎えてくれるとは限りません。

内覧できる物件は、売主が対応できる物件に限られます。一般的な方々と生活環境が異なると、居住中の物件で内覧できる物件は少なくなります。

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内覧依頼に合わない場合もあります。

買主にとってのメリット

購入希望者にとっては、内見は物件を知る重要な機会です。居住中の物件は売主さんと相対することになりますので、直接コメントを聞けることや、どのような方がわかるので安心できるという部分もあります。

たとえば、生活の生の声、隣の雰囲気など、必死さが伝わらないように情報提供をすれば、安心感を提示することもできます。

売却を依頼する業者の選定

居住中の物件の場合には、売却の依頼先の選定は、近隣の中小の業者に依頼するほうが望ましいと言えるでしょう。機動性の問題があるからです。大手の業者や遠方の業者に依頼することは避けるべきです。取りこぼしが生じるからです。

囲い込みをする意図がないのにもかかわらず、鍵を遠方に保管するとか、内見日時を特定の日時に設定するなどの行為を通して、実質囲い込みのような状態になることがあります。

機動性のある業者

居住中の物件を売る場合には、業者の機動性に注意すべきです。

空室の物件の場合、かぎを1本預けておきさえすれば、内見時間の設定は業者の判断で行うことができます。これはいつでも内見できることを意味します。

しかし居住中野物件は、居住者の対応も必要です。内見時間の設定は業者の判断だ対応できません。これは、内見をしたいという客を取りこぼす可能性があることを意味します。

見学者数を集めることで成約確率は上がりますので、売主からすれば、できれば取りこぼしたくないところです。

大手業者のを避けたほうがいい理由

大手の業者の良い点は、担当者の質が平均して中の上であることと、コンプライアンスに対しては神経質っであることです。しかし、デメリットもあって、預かり物件が多くなるため、細かいケアができなくなることです。

人間が持つ時間には限りがあるため、1担当者あたりの預かり件数が多くなってしまうと、1物件ごとに細かいケアができなくなります。細かいケアができなくなることにより、内見をしたい客を取りこぼすことが頻発します。

「大手の担当者に問い合わせたけれどスルーされた」とは筆者もよく聞きます。おかげで当社にもお客さんが回ってきてるのですが、売主視点では、検討客を取りこぼしていることに他なりません。

一般的な高額物件帯の販売に時間がかかるのが常識とされています。5~8か月の販売期間を要することはしばしばあります。当社が預かれれば4か月くらいで売れることもあるのですが、大手だと検討客を取りこぼしている事情もあると予想します。

遠方業者のデメリット

遠方業者ともなるとさらにデメリットは加速します。そもそも対応できないからです。

ここでいう遠方とは、東京ならドアツードアで1時間以上の距離を指します。地方なら30分くらいでしょうか。通常の通勤や通学に要する以上の距離感です。これ以上の距離感となると、心理的に面倒となってきます。

心理的に面倒となると、やはり細かいケアができなくなり、内見をしたい客を取りこぼすことが同様に起こりえます。

当社も1年に1回くらいは遠方からの売却の相談を受けることがあります。売り方をご相談すると、必ずしもお客様にメリットをもたらさないケースもあります。自制をしたうえで、ご相談してアドバイスをしています。

居住中物件の売却活動のマインドセット

売主様の日常生活がある居住中物件の場合、内覧は予約制が基本です。その調整は不動産業者が行います。売主さんにとって対応しやすい曜日や日付などをあらかじめ伝えておくと、営業マンも対応しやすいでしょう。

「買いたければ買えば?」の態度で

売りたいあまり、アピールが強く出てしまうもの。質問されたことについた淡々と答えればよいのであって、積極的な「良い面のアピール」は、内覧者にとっては「セールストーク」に聞こえる場合があります。アピール感を強く出してしまうと、弱みを見せたと読み取って、交渉で叩かれてしまいます。

ただ、これはむずかしところです。売主さまからいくらかの価格交渉には応ずると申し出たところ、とんとん拍子で進んだこともあります。相手にもよります。

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買いたければ買えば?と強気の態度で

質問に丁寧に答える

家には、実際に住まなければわからないこともあります。質問には丁寧かつ客観的に答えてください。

隣人のこと、管理組合のことなどです。不動産ですから良い点と悪い点があって当然で、そのことを恐れる必要はありません。隠さず教えることは信頼性のアップにつながります。なにも聞かせてもらえないと、検討者はかえって不安になる場合もあります。

隠してしまうと、あとでクレームのもととなります。

クレバーな営業マン

高く売れる物件を作るには、魅力や特色を引き出すべきです。物件の魅力を引き出すには、クレバーな担当者を味方につけなければなりません。環境、便利さなど住み心地、管理具合や外観がよさ、建物が持つ雰囲気など、全体的な魅力を伝えるのは不動産業者の仕事です。

営業マンがマンションの良さを十分理解し、その魅力を引き出して、検討者に情報が十分に伝わらねばなりません。売主は、購入時の資料、日常生活での資料は積極的に仲介業者に提供して、情報周知に配慮しなければなりません。

魅力を引き出すセールスの施策

覧や見学の対応が不十分なので売れないこともあります。「室内の様子」については、売主様の努力が大きな影響を与える部分です。内お客様を暖かくお迎えする配慮も当然必要となってきます。

需要と供給のバランスにもよりますが、物件の魅力を十分に引き出すことができれば、売却のスピードを速めることもできます。売主として努力できる範囲はどのようなものがあるでしょうか。

来る人はお客様

安定して住宅ローンが付く人の多くが勤め人である以上、内覧はほとんどが土日に行われます。週末の予定はいろいろあると思いますが、よっぽどのことがない限り受け入れる前提でいてください。

購入希望者の内覧を断るということは、買ってもらえるチャンスを見送るのと同じことです。当日あるいは前日、突然に内覧の予約が入ることもあります。いますぐ買うことはない内覧者でも、縁が及ぼす力を大切にしたいものです。いづれ戻ってくる場合もあれば、その人が他の方に影響を及ぼすこともあります。

内覧や見学の対応により売れないケース

購入を検討するお客様の案内を受ける場合に、見てもらう人に物件の良い印象を持たせるべきなのは重要です。自宅マンションを、広く、きれいに見せる方法としてモデルルーム等の手法を参考にするのはいかがでしょうか。

昼間でも部屋が明るい方が、印象が明らかに良いです。できるだけ綺麗に使っていることをアピールして下さい。うず高く積みあがった家族のアイテムは、部屋が狭く見えてしまうこともありますので、見学者にとっては必ずしも歓迎されません。いずれ引っ越すのであれば、捨ててしまうのも一つの方法です。お部屋、水回りの電気はうけて、カーテンも開けておくことがいいでしょう。

汚部屋(おへや)

住まいの売り出しで最大・最高の要所は内見です。雑然とした部屋のままですと、販売努力にもかかわらず、買主に何度も断られ、売れ残っている場合が多いように思います。ポイントは部屋の第一印象を高めることです。部屋を掃除して整理し、訪問者が快適に過ごせる環境を作ります。一方、大規模なリフォームはコストに対するパフォーマンスが不明であるため、注意する必要があります。

断捨離

お客様単体ですぐにもできることは、部屋をシンプルにすることです。理想は「モデルルーム」並みのシンプルさです。いづれは退去する時が来ますので、不要なものは捨てましょう。

モノにあふれて生活感があるので、部屋が狭く見えるお部屋、暗く見える物件、臭気がするマンション・一戸建てはテンションを下げる要素となります。可能なら、ホームステージングなども検討しましょう。

ヴェラハイツ浅草橋101 リビング

「モデルルーム並み」は難しいかもしれませんが、可能かなぎりシンプルに。

特に大切なポイントは水回りの断捨離です。「女性がよく目が行き届くのが水回り」などといいますが、女性に限らず、男性もよく見ているのが水回りです。そのためには、まず水回りのアイテムをすっきりさせましょう。水周りがモノであふれていれば、好感度は下がってしまいますし、汚いと家の商品イメージはぐんと落ちてしまいます。

ペットを飼っている家は気をつけましょう。意外と忘れがちなのはニオイです。

スリッパを用意

普段からスリッパを履かない人にとってはスリッパは違和感があるものですが、内覧時のときには、スリッパがあると丁寧な印象を与えることができます。他人の家を靴下で動き回るのは、来訪者も気を使う方もいます。100円均一のものでいいので、来客用のスリッパを4、5足分(シングル向け住宅なら2、3足)はご用意くださるとよいでしょう。またベランダ用のサンダルの用意もございますとスムーズになります。

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この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。ヤマト住建(株)等OB。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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ロータス不動産は2010年創業で着実に実績を重ねてきました。「ロータス」とは英語で「蓮の花」のことで、良い水先案内人として、美しい花を咲かせる存在でありたいという思いを重ねています。