不動産買取の再販価格と原価構成

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買取価格は、個人に向けて売却するのと比べ、売買価格は安くなります。

買取業者は原価や価格の読み違い、契約不適合などのリスクを負います。見方を変えれば、売値を安くすることで、個人から買取業者にリスクを移転したと考えることもできます。

筆者も会社員時代は建売業者で土地の買取を行っていました。買取は、相場の上昇が止まったり、下降相場になってくると、「苦労が多いわりに報われない」と感じるビジネスでもあります。

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買取業者への売却なら仲介手数料無料

最初にアピールをさせてください。当社では、買取業者への仲介は手数料無料でお受けしています。売り先を広く集め、買う側の競争を演出できるのが仲介業者を利用する良いところです。買取は一般に売り出すよりもいくらか安くなりますが、手数料無料なら、そのいくらかの価格低下のデメリットを吸収できると思います。

不動産の買取とは?

不動産買取とは業者による購入です。業者は商品仕入れとして買取ります。一般的には買い取らた物件は、リノベーションやリフォームをして付加価値をつけてから再販されます。

普通に売り出すより安くなる買取価格

むろん、業者も利益が必要ですから、一般市場価格で購入していては、ビジネスは成立しません。業者が買取価格として提示するものは、物件を再販売したときの相場価格から、リフォーム費用、諸費用、粗利益、維持費を差し引いて算出します。

相場が上り調子のときは、買取価格は一般価格に近づいたり追い越したりすることもありますが、一般的には、売主様から買い取る価格は市場価格より安くなります。

安く買い取ることができる事情

買取業者の強みは「即断即決ができること」や「不動産を開発・加工するノウハウがあること」などがあげられます。一般の個人が戸惑うようなケースのとき、買取業者が登場します。

「契約不適合責任を負いたくない」「早く売却したい」「秘密に売却したい」「経年変化が著しく許容範囲を超えている」「深刻な告知事項がある」など、じっくり構えた売却では処理できない状況のとき、買取を活用します。

買取価格・再販価格・原価構成

買取価格の目安

買取価格の目安は、個人同士の売買の中古売出し価格の7~8割です。

買取価格は、おおむねどの程度の目安かというと、通常の一般市場価格の7~8割です。つまりリフォーム前の状態で相場が3000万円という物件のケースを想定すると、買取価格は2100万円くらいです。

これに、リノベーション付加価値を載せて販売しますが、業者が売りに出す価格(再販売価格・再販価格)は、リフォームをされない状態の相場から比べて、600~1000万円くらい高くなります。

再販価格と原価構成

このような流れで、原価・利益の構成を、シミュレーションして見てみましょう。おおむね、下記のような収支計算になります。都心3区のような相場が高いエリアになれば利幅も上がります。ただ、後述のように、値下をする場合も、その幅が大きくなります。

仕入価格 2100万円(業者の買取価格)
仕入諸経費 170万円(購入時の登記費用・税金・仲介手数料)
リフォーム代 690万円
広告代・流通経費 110万円(売却時に仲介手数料)
利益 530万円
消費税 90万円
再販価格 3,690万円(業者の再販売価格)

3690万円のリノベ物件の構成

リスクが高い買取事業

「一回右から左で530万円の利益なんてぼろもうけやん!」と感じる方も多いかもしれません。しかし、実情を理解すると、決して大儲けというわけではありません。

価格の読みの失敗

1度か2度の値下げ・値引きを想定しなければなりません。値下げは1回あたり100万円です。2度の値下げを行うと、業者利益は530万円から330万円に低下します。

2度値下げをすると、利益は大きく圧縮されて、、業者の財布も、ほぼスカスカになってしまうビジネスです。大儲けのように見えるのですが、リスクと隣り合わせのビジネスでもあります。

仕入れ競合リスク

ただ、相場が上り調子の時は、値下げのリスクも低くなります。ただ、今度は、買値が上がるリスクが生じます。想定を超えて、市場価格の8割以上と、強くなる場合もあります。2020年前後の時期は、このようなことが続いていました。

原価の読み間違いのリスク

施工費が予想より高かったということは、しばしば起こりえます。建物の解体工事をしてみたところ、「予想以上に白アリ害が進行していた」「腐食が大きかった」など、目には見えない部分のリスクは付きまといます。このようなリスクを背負っています。

利益の有無にかかわらず、業者は営業マンや事務員の給料を払い、事務所の運営費を払う必要があります。この上で、購入した物件がいつ売れるか分からないというリスク、何かの欠陥が生じたときに責任を負うリスクを、常に負うことにもなります。

仲介業者を通すのと、業者との直接取引はどちらが有利?

買取業者へ物件をすることは、個人へ向けて売却するより安くなりがちです。では、物件を売却する際に、仲介業者を挟んだ場合と直接取引した場合で、どちらが良いのでしょうか。とくに買取価格に著しい差は生じるものでしょうか。

仲介業者を通した方が価格は有利になることも

この記事を書いているのは2024年ですが、下半期に2件の買取業者への売却案件がありました(小さな会社なのでこれでも十分多いです!)。これらの案件では、お客様のほうで、最初に直接買取業者に査定を依頼していましたので、事情を聴取することができました。

実際は、一件目は2,780万円、二件目は3,700万円と買取業者で査定されていたようです。しかし、当社が仲介に入った結果、最終的に一件目は2,900万円、二件目は4,550万円で売却することができました。つまり、仲介を通すことで、それぞれ一割以上の価格アップを実現できたわけです。

なぜ有利になる?

なぜこのような差が生まれるのでしょうか?売主が直接買取業者に相談すると、業者側は競争相手が見えにくくなり、強気な価格交渉が難しくなります。一方で、仲介業者が関わると、買取業者にとって「本当に買える物件」という認識が強まり、より積極的に価格提示を行う傾向があります。また、仲介業者とは今後も取引の可能性があるため、買取業者はその関係性を重視し、できるだけ高い価格を提示することが多いです。

直接買取業者を通した方がいいケースは?

もちろん、買取業者と直接取引するメリットもあります。特に、売却を急ぐ場合や、秘匿性を重視する場合には、買取業者と直にやり取りするときのスピード感は大きな利点です。

結論として、スピードを重視する場合には直接買取業者と取引するのが良いかもしれません。しかし、価格面を重視するなら、仲介業者を通した方が有利な結果を得られることも多いでしょう。

売却する側として買取価格を予想したい

不動産の買取価格は最終の売却価格からの逆算で計算します。これはマンションも一戸建ても同じです。買取価格は、原価率や利益率を考慮して設定されることが一般的です。あくまで市場価格によりますので、路線価、公示地価などのようなわかりやすいものから算出することは、現時点ではできません。

簡単な目安はないのか?

後述しますが、新築建売などは0から作るので価格の逆算はわかりやすいのですが、中古マンションのリノベ再販は、元の中古物件の状態が個別性があるので、わかりやすい目安での予想はできません。

なお筆者が建売業者の従業員だった時には、東京の建売業界において、建売業者が銀行から借り入れをするための担保評価目線は、路線価までというものがありました。これもリーマンショック以降は不動産価格がどんどん上昇していきましたので、経済的な変動によって銀行側の評価基準が変わることがあるため、一律の基準は存在しないのが現状です。

しかし、ご存知の通り東京は物件価格が高いですので、地方ではまだ同様の評価基準はあるかもしれません。

速算のための係数

建売の物件の買取価格では、係数のようなもので速算する方法もあります。土地の値段がわかれば係数をもとに、売値を簡易的に算出する方法です。筆者が建売業者に従事していたときには、利益も込々で1500万円などと言われていました。

例えば、土地の一区画が1,500万円で分割できる場合、3,000万円で売れるエリアであれば、1,500万円の売却価格が設定できるという考え方です。ただ、現状の経済情勢では建築原価が上昇しているため、係数は1800万~2,000万円くらいではないかと思います。

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この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。ヤマト住建(株)等OB。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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ロータス不動産は2010年創業で着実に実績を重ねてきました。「ロータス」とは英語で「蓮の花」のことで、良い水先案内人として、美しい花を咲かせる存在でありたいという思いを重ねています。