消費者金融に借入があるときの住宅ローン作戦
消費者金融等の借入がある場合でも住宅ローンはできます。年収と全債務の返済比率が問題なだけで、クリアーすれば可能です。
原則として住宅ローンで既存の債務を住宅ローンでおまとめすることは禁止ですが、最近では、そのような利用を前提とするローンも出てきました。
具体的な借り入れ可否は、個別の事情により、審査部門の特別判断となります。そのため、ネットをほじくり出しても情報は出ませんので、物件をきめて、実際に審査をすべきです。
この記事を閲覧された方の相談は、当社が仲介できることを前提に、ラインで受け付けています。
公開日: 更新日:
author:春日秀典
目次
消費者金融の履歴アリでも住宅ローンは可
金融機関で判断はことなりますが、消費者金融に借入があっても住宅ローンは可。
当社でも消費者金融借入中の状態で通したことはあります。
重要なのは収入のと債務の返済合計の比率。
「延滞あり」「住宅ローン申し込み時に告知しない行為」は厳しく見られる。
消費者金融(いわゆるサラ金)やカードローンなど、フリーローンの借入がありますと、住宅ローンはできないのではないかと考えてしまいがちです。結論から申し上げますと、大きく心配することではありません。当社でも消費者金融アリの状態で通したことはありますし、審査にもよりますが住宅ローンをあきらめる必要はありません。
【動画】
判断は金融機関で異なる
通る・通らないの対応は銀行によって変わるというのが実情です。銀行を利用する場合、目的ローンと異なり、消費者金融等に対してネガティブな判断をして、借入履歴を重く見る銀行も一部あるのも事実です。一方で、単純に返済比率だけの問題としてとらえる銀行もあります。特定の銀行でなければならない事情がなければ、大きく問題にはならないとと思います。
ただ、返済比率として見る場合、過去の消費者金融との取引履歴があり、過去2年の借入履歴が存在する場合には、極度額(借入枠)の全てを返済比率として見る銀行もあります。結果として厳しく見るところもあるようですね。
重要なのは返済比率
どの金融機関を利用する場合でも、大切なのは返済比率です。
リンク先でも解説していますが、返済比率とはご収入に対する返済額の比率です。住宅ローンや他の借入の返済を合算した総額を検証しています。借入とは消費者金融、カードローンのほか、複数回のカードの返済、携帯電話の分割払いなど全てです。
返済比率が各金融機関で設定している比率を範囲内ならば、住宅ローンの審査を通すことができます。返済額とは現在の金利ではなく、想定される金利のことを指します。一定の金利に対して35~45%の設定をする金融機関が多いようです。収入によっても変わります。
借入未申告は超NG
どの金融機関の住宅ローンの書式でも借入残高を告知するコーナーがあります。借入の事実を告知欄に記述をしないと瞬殺です。実際のところは個人信用情報を調べれば借入残高があるのはすぐにわかるのですが、「金融機関に対して不誠実」という見方をされるそうです。
フラット35は強い味方
金融業者にもよりますが、フラット35であれば後ろ向きの対応をすることはありません。まずは、カードローン等に借り入れがある中で住宅ローンを検討するなら、まずはフラット35の利用を検討すべきでしょう。
フラット35は数字に合うかどうかで判断をします。また完済されれば、借入はないものとして見てくれます。借入があっても、収入との比率だけの問題です。
フラット35は「独立行政法人住宅金融支援機構法」という法律にもとづき、国が福祉の目的でやっています。税金も投入されるローンです。ですので、ローンの別により重みを付けることもなければ、目的ローン、フリーローンの差別もありません。
また、少し専門的な話ですが、フラット35は通常の銀行よりも借入を増やすことができます。返済比率も有利です。
一般的な金融機関の返済比率の計算は、3%~4%で借りているものとして算出します。民間の金融機関は将来の金利上昇に備えるため、余裕を持ったシミュレーションをしています。
しかし、フラット35は完全固定金金利のため、金利上昇の概念がありません。そのため、実際に借り入れる金利をもとに借入限度額を計算します。2021年ごろの金利であれば、1.35%程度で返済比率を計算します。想定される金利が低い分、借入枠が大きくなる計算なので、フラット35は有利です。
延滞履歴がある場合
延滞の質と回数にもよりますが、過去に延滞がある場合は住宅ローンの借入は厳しくなります。やむを得ない事情により、わずかの期間払い遅れがあったのであれば、通常は2年で履歴が消えますし、金融機関によっては緩やかに見てくれる会社もあります。しかし、深刻な延滞(60日以上の延滞、保証契約の利用、破産宣告など)については、金融機関は一様に厳しくなります。
とくに、上述のフラット35は延滞は厳しく見ます。私の経験では延滞履歴があったときに通ったことがありませんので、利用はほぼ不可能だと見られます。
ちなみに、金額はあまり関係ないようで、学生時代のクレジットカードの延滞が少額・毎月あったので不可とされた事例もあります。多数となると厳しいようです。お心当たりがある方は、不動産業者に足を運ばれる前に、まず、ご自身の信用情報(クレジットヒストリー)を確認されるとよいでしょう。
ただ、特定の保証会社を活用した住宅ローンでは、保証会社は延滞履歴などがあっても対応するようです。後述の「おまとめ」にも対応するとのことです。このただし、保証料は極めて高く、ある程度収入がある方でないと対応できないかもしれません。当社では経験はないのですが、保証会社の名称、利用できる銀行は把握していますので、チャレンジされたい方はお付き合いいたします。
完済したあとの影響
完済した後では、借り入れの履歴を影響をする銀行もありますが、重視しない金融機関もあります。収入返済比率にカウントしないため、借入限度額が柔軟に対応できるということです。
おもに個人の力を重視する銀行では、完済した後でも、2年程度は履歴を重視して、収入に対する返済比率に加算する銀行もあります。一方で、担保評価を重視する金融機関のなかでは、完済したものとして、影響を重視しない銀行もあります。
不動産の売却益で消して新しい住宅ローンを組みたい
新規の住宅ローンの借入で、消費者金融の借入履歴があることをネガティブに見ない銀行を利用して、売却・購入で一連の動作により対応せねばなりません。高度な信頼性とスキルが必要です。場合によっては無担保ローンによるつなぎ融資も必要でしょう。当社の住宅売却サービスの紹介からその旨を添えてお問い合わせください。
消費者金融がある場合に準備すること
現状がわからないと方向性を道きだせません。住宅ローンを借りるには、まず現在の債務の返済状況を確認しましょう。
消費者金融がある場合の準備
- 使途自由のカードローンタイプの債務は、現在の借入額と借入極度額
- リボ払いの有無、契約抹消が可能なカードブランドも同時に検討
- 目的タイプのローン(携帯電話の購入費用もこれに該当)は返済計画表を手元に
- ローン会社名、金利、借入開始日と返済完了予定の日、毎月返済額を確認
債務状況の把握
重要な情報はいくつかあります。まず、定期的に送られ来る返済予定表、引き落とし表、契約条件書などを取り出して、毎月返済すべき金額を確定してください。債務の状況が確認できないと住宅ローンと債務の合計返済額が想定できません。正確に確認しましょう。
既存の消費者金融などの借り入れ状況がわかりますと、債務の返済額と、住宅ローンを合算した「総返済額」がわかります。年収に対する返済比率が把握できるようになります。
借入可能額は全債務の返済比率でわかる
確認できた他の債務の返済額を控除して、残りの余力により住宅ローンの上限金額が決まるルールになっていますので、借り入れがわかると、次のステップ判断できます。
たとえば、年収450万の世帯では、3200~3700万円のローンが組めます、しかし、他の債務で毎月3万円の返済があるならば、住宅ローンの可能額は2500~2900万円くらいに変化します。
具体的な相談について
ときどき、借入額を記入してご相談をいただくことがあるのですが、具体的な相談は実際に当社が仲介には入れる場合のみ対応しております。オンラインでの提案・指南などは行っておりません。なにとぞご容赦ください。
原則、東京や首都圏が対応エリアです。新築建売やリノベーション住宅であれば、地方・遠方でも、対応可能です。
借入があるなかで住宅ローンに取り組もうとする場合、以下の情報が分かると分析しやすいです。情報を整理してみてください。
カードローン・消費者金融の借り入れ状況の分析
使途自由のカードローンタイプの債務は、次の情報を把握してください。クレジットカードのリボ払いはフリーローンとみなされる場合があります。
- ローン会社名
- 現在の借入額
- 借入極度額
- 約定での返済月額
- リボ払いの有無
- 契約抹消が可能なカードブランド
一般の債務
住宅ローン、自動車ローン、教育ローンなどの目的タイプのローンは以下の情報を把握してください。携帯電話の購入費用もこれに該当しますので注意が必要です。返済予定表(契約時や毎年/半年ごとに送られてくる書面)をお手元にご用意ください。
- ローン会社名
- 金利
- 借入開始日と返済完了予定の日
- 毎月返済額
- 残債額
お客様のと物件の情報
- 税引き前のご年収(2年分わかるとよい)
- 勤務先
- 勤続年数
- 購入希望の物件情報
おまとめローン・おまとめ的なローンによる返済の軽減
住宅ローンによる債務の「おまとめ」とは、売買価格や諸費用額を、実際の価格以上の金額で銀行に依頼をして、よりも多く借りてしまい、住宅代金の残りを借入返済に充当するというものです。
大手や上位地銀では対応していませんが、一部、類似の機能を提供している金融機関もあります。
宅ローンによるおまとめ
- 大銀行やネット銀行では不可
- 大手以外では「おまとめ」的な機能のサービスを用意しているところもあり
- ノンバンク
- 銀行系カードローン
- フラット35と提携するカードローン
- ろうきん
- 特定の保証会社を活用した地銀のおまとめ対応(保証料が高い)
大銀行やネット銀行では不可
金利も低く、期間も長いので、毎月の返済を著しく軽減できるのですが、大手銀行では、住宅ローンの目的外利用を金融機関は認めません。ローン詐欺になる場合があります。立件はされなくても、期限の利益の喪失(つまり一括返済を請求されること)となる場合もあります。もちろん、おまとめを禁止した住宅ローンでの対応は当社ではやりませんし、通常の不動産業者・金融業者ならば、対応しません。
また、提案してくる不動産屋さんはかなり危険な業者です。なにより、相場に比べて異常に高い物件である可能性があります。昔の不動産屋さんは、裏テクニックを駆使して、住宅ローンに組み入れてしまい、無理やりおまとめローンにするようなことも聞きますが、いまは銀行も見る目が厳しいため今はかなり厳しいと思います。
アフィリエイトサイト、SNSのインフルエンサーなど、不動産業者や金融のプロ以外の情報では、ローンでまとめ込むことも可能と書いてありますが、事情を知らない人たちであり、嘘です。ステルスマーケティングもあります。そのまま信じてはいけません。
おまとめ的な商品
安心して借り続けるには、正攻法で行くしかありません。いくつかを紹介します。ただし、大手・メガバンク等ではおまとめ的な対応ができる住宅ローンはありませんので、それ以外のところです。
まずは住宅ローンと同じ期間で貸すノンバンクを利用する方法です。カードローンなどを、ひとまとめにする方法もあります。住宅ローン商品に付帯したサービスを提供しています。これはカードローンよりノンバンクの金利が低い場合には有効です。ただし、ノンバンクですので「総量規制」に抵触します。
住宅ローン利用者に限定したフリーローンという商品もあります。
銀行+フラット35
おまとめ的な対応をとして、フラット35と銀行がペアを組んだ金融商品もあります。フラット35に通る人なら貸すという金融商品で、関東エリアでも対応できます。
ネット銀行・地域金融機関の例
地域によっては、住宅ローンを利用したおまとめ的な対応をする金融機関もあります。北海道ろうきん「住きっと500」、北陸ろうきん「まるっと500」、近畿ろうきん「住宅プラス500」などがあります。最近ではJAや、地方銀行等でも取り扱いがあるという情報が入ってきます。これらは、おまとめ的な利用が可能な商品と聞いていますので、該当する地域の方は利用を調べてみるといいかもしれません。
「トマトおまとめ住宅ローン」「東邦銀行スーパー住宅ローン「プラス7」」「北日本銀行住宅ローンASUMO」などは特定の保証会社を利用した住宅ローンで、保証料は高いのですが、住宅ローンとしておまとめに対応すると明言してます。
ネット銀行でも住信SBIネット銀行では、同様のローンを扱うと明言しています。
いづれも、ただし、おまとめ総額は500万円までです。
当社ではこのタイプのローンにはまだ対応したことがありませんが、機会があれば、利用の可能性を深堀したいと思っています。ただ、各銀行でもまだ開始をしたばかりで経験の積み上げが少なく、どのタイプのお客様ならば承認まで行けるのか、明確なお話ができません。
物件が決まっている方についてはフォローの対応をチャレンジしてみますので、ご興味があるかたは、すべてのお借入れの状況がわかる明細をご用意の上、ご相談くださればと思います。
特殊な例では、ほとんどの方には難しいですが、信用金庫ではプロパー貸しの場合(保証会社を経由しない)で、おまとめローンとして対応する場合があるとのことです。ただ、信用金庫は縁を重視する金融機関です。地縁などのつながりを重視しています。初見のお客様には無理ですが、「取引が長い中小企業の社長さんの息子さん」「これまでの自動車ローン、奨学金など目的ローンのおまとめ」などが対応の主な対象になるとのことです。
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