いい物件探しには現地の下見がお勧め
不動産の営業マンに影響されないで物件をみるには、まずは現地を一人で確認しに行くことが必要です。主体的にみる行動は「やめた方がいい物件」をつかまない動きにつながります。
不動産の良し悪しは、変えられない部分で8割、特に立地が重要な要素を占めます。
とくに、リノベ物件や新築では、内装はきれいなことは明白ですので、見るべきポイントというより、確認するだけのポイントです。
下見した物件の感想を教えていただけると、フィードバックができます。新しいお問い合わせの物件で、当社をはじめ、不動産営業マンの「見る価値がない」「見るべきだ」のアドバイスにつながります。
公開日: 更新日:
author:春日秀典
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目次
自分の目で見て確かめる
不動産でいい買い物をするには、まずは立地、外観、環境など、現地の様子がご要望に合うか、観察すべきであると言えます。
不動産の8割は変えられない部分で決まる
不動産の8割は「変わらない部分」で決まります。後述しますが、とくに立地でほとんどの不動産の価値が決まります。多くの人は、きれいな部屋を内見をして、心躍らせたくなるものです。しかし、不動産の価値の7~8割くらいは、現地や環境で決まります。これを見極める勘を磨くことこそ、本当はいい買い物をするコツといえます。
家は「生活ツール」でもありますから、現地の中に身を浸し、ご自分で見て、その地域で暮らす姿を想像できなければなりません。その点、現地に行くと実際の様子がわかります。駅前の安全性、夜間の見通しのよさ、現地の雰囲気、現地の騒音、建物の雰囲気、建物の維持管理の状況など、感じることがまず大切です。
そういう行為を重ねると、ご自身の好みの軸がはっきりしてきます。
そのためには、不動産業者と同行する前に、ご自身のお一人でしっかりと現地視察をすることが、本来のやるべきアクションです。業者の一員である私が申し上げると奇異に感じるかもしれませんが、自分の足で探そうとされるお客様のほうが、ご納得の上、進められているようには感じます。
不動産屋も、駆け出しのころは、見立ての力を高めるために、「見る」という訓練を、まずは重ねます。楽をして正しい判断をすることはできないわけです。
内装は「確認するだけ」の要素
リノベ住宅や新築住宅はキレイに仕上がっているのは明白ですので、実際のところ、築古の中古住宅を除き、内装が判断のポイントにはなりません。見学件数を重ねると「どこも同じ」という達観した見方になってくると思います。
不動産の広告を見れば、豊富な写真が出ていますし、3D写真も豊富に出ています。少し慣れれば、写真を見るだけで大体は把握できるようになります。
内装は、築古の中古住宅では確認すべきポイントですが、程度が良い、新築・リフォーム済み・美築の物件では、室内・内装は、「確認するだけ」のポイントです。
変えられない部分を現地で見る
むしろ、不動産探しで大切なのは、変えられない部分を丁寧に検討することです。不動産とは、動かない財産の略ですので、「動かない部分」「変えられない部分」を丁寧に見なければなりません。とくに、変えられない部分で最重要なポイントは立地です。
変えられない部分の代表は立地
不動産の良し悪し・資産価値とは立地にあるともいえます。立地といっても実は漠然とした概念ですが、駅からのアプローチ(道中)、現地の雰囲気・環境、これらを総合して立地といいます。>
立地以外でも、建物構造、向きなどです。マンションであれば、共用部の様子なども判断材料に加わります。
外観で感じることができるものには数倍の情報価値がある
壁面や外観の汚損、破損が著しいマンションがときどきあります。しかし、不動産広告ではわざわざこのような状況をお伝えすることはありません。広告では把握できない内容も、現地に行くと感じ取ることができます。不動産業者に案内をされる前に現地に行くことは、引率されて流してみていくよりも、数倍の情報をえられることがあります。
写真は汚損の例です。私が見たケースでは、外壁コンクリートのひび割れや、広い面積でタイルの剥がれが放置などもありました。見た目で明らかに状態が悪い物件は、専門家に診断を依頼するまでもなく、NOと判断すればよいことです。
不動産のチェックポイント
- アプローチ・駅前様子
- 雰囲気
- 環境
- 外観
- 建物築年数
- 共用部・管理状況
- 日あたり
- ネームバリュー
掘り出し物(自分だけの特別扱い)を期待しない
ちなみに、注意をしなければならないのは、「100点の立地・建物はない」ということです。100点の物件を求めてると、沼にはまることになります。立地も建物も100点の物件をあるにはありますが、価格も相応に高くなるからです。
『不動産には「格安物件」や「掘出し物件」はありません。』この言葉は、東京都庁のサイトからの抜出です。わざわざ都庁のページに書き込むくらいですから、だまされてしまう方も、本当に多いのでしょう。
https://www.juutakuseisaku.metro.tokyo.lg.jp/juutaku_seisaku/490p10-11.htm
ハズレ物件を避けるため、最も番怖いことは自分自身です。「承認欲求」「自己顕示欲」など、人間は潜在意識では「特別扱いをされたい」という意識があります。誰しもチヤホヤされたい生き物であり、特別扱いを受けたい生き物なのです。それ自体は自然なものかもしれませんが、そういった心理が大きなものであるとき、悪質な業者等は付け込んできて、ハズレ物件をつかまされます。過去の不動産にまつわるスキャンダル、詐欺などは、間違いなく「特別扱い」を受けたい人間の心理をつついてきます。
「掘り出し」「格安」等と不動産業者のほうから言い始めたら、それこそまずは警戒すべきといえます。そもそも、売れる物件なら、お客様一人を特別扱いしなくても、売れていくものです。このことを理解しなければ、「ハズレ物件を掴まない」ことはおぼつきません。
感じることを信じる
駅に近く、環境が静かで、きれいな外観をしている物件のほうがいいに決まっています。そして、このような「変えられない部分」で優れている要素が多いほど、価格は高くなっていきます。
しかし、現地に行くと実際の様子がわかります。何を取り、何を捨てるかをいろいろな物件を見ながら、考えることができるようになるはずです。
むしろ、後述のように、不動産の販売ではセールス的な心理操作がありますから、セールスマンが介在すると直感が歪められることが起こりえます。こちらのほうを心配すべきです。
心理操作に影響されずに見る
案内の順番による心理操作
不動産の案内において、見学を誘導することにより心理操作を試みるのは、基本中の基本です。
物件案内のなかで、最後によい物件を見せることで成約率が高めようと、不動産業者は試みます。進め方として、『×物件・×物件・○物件』で見せていきます。昔は『ブス⇒ブス⇒美人』とも言ったものですが、今は『ハゲ⇒デブ⇒イケメン』と表現してもいいかもしれません。
案内の誘導はこのような感じで進めます。
1件目安いだけで良くない物件を見せます。
2件目は、お客さんの予算・想定する値段だけども、よくない物件を見せます(この時点でストレスが上昇します)
3件目には、物件敵にはお客さんの希望の内容だが、金額的には少し高い物件を提示します。
不動産業者もダラダラと案内を組み立てているわけではありません。実は、心理操作を試みて、戦略的に案内を組み立てているのです。一生懸命に奉仕してくれているように見えても、善意は回収できる自信があるからこその対応です。
セールストークによる心理操作
つぎに販売物件の接客においても、心理操作があることに注意をしなければなりません。営業マンのプレゼンテーション・物件の見せ方により、影響を受けることがあります。現場では、物件をどう見せるかでも、お客様は影響されます。
たとえば、管理体制・清掃状況がデメリットのマンションならば、先に、駅に近いことの良さを刷り込んでいくのです。
営業マンはいろんなことを言ってきますが、パリッとした不動産営業マンが自信をもって断言されると、「そうかな」という気がしてきてしまうものです。
営業マンに影響されずに検討するには、まずは影響のない一人でで自分の目で見て確かめて、心で感じることに正直にならなければなりません。
不動産屋のお勧め物件に頼らない
一般に、売りに来たものほど、慎重な検討を要します。向こうから物件は全部×と割り切った考え方をする人もいます。
いい業者にあたることができれば、選択肢の中で再多岐な物件の紹介を期待できます。しかし、悪質な業者にあたってしまうと、不動産業者がお勧めする物件は、「いま処分したい物件」となります。