フラット35が利用できる物件の見分け方
フラット35を利用するためには、フラット35の技術基準に適合していることの証明が必要で、その証明を「フラット35の適合証明」といいます。
適合可否は販売資料には書いていないことが多いので検討に迷いますが、趣旨を知れば予想は可能です。
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author:春日秀典
目次
フラット35の利用には適合証明が必要
フラット35では、技術基準に適合していることの証明が必要です。この技術基準があるため、物件としては、比較的良質な物件の傾向があります。技術基準の内容は、建物の形状・耐震バランス、適正な管理費の運用ができるか、長期修繕計画の有無などが調査の対象です。
この証明書を適合証明といいます。適合証明の依頼コストは依頼先によっても若干ことなりますが、5万~7万円くらいです。最近では、フラット35も商品が,【フラット35】【フラット35S】【フラット35リノベ】など多様化していますが、基礎となるフラット35とくらべ、Sやリノベが付くと、発行費用は1~2万くらい高くなるようです。
適合証明の発行者はだれ?
適合証明は専門の資格のある人が発行します。これを適合証明技術者といいます。主として建築確認検査機関や、設計事務所がその任にあたります。そのため、最終的には調べるにはコストがかかります。組織が行う「検査機関」よりも、「設計事務所」のほうが、小回りが利き、価格も若干安いようです。これらの専門家のなかでは事前診断をサービスでしてくれるところもあります。
なお、事前診断では足を使って動いてはくれず、最終的には正式の診断を依頼する必要があります。事前診断をお願いするには、必要書類をそろえるのにコストがかかる場合があります。
らくらくフラット35
適合証明の発行を省略できる物件もあります。これらの物件は住宅金融支援機構に登録されていて、らくらくフラット35というページで確認することができます。ただ、これはわりと新しめの物件でないと登録がないため、古い物件は見当たらないかもしれません。
【らくらくフラット35】
https://www.simulation.jhf.go.jp/flat35/f35ums/
適合証明の効果
適合証明の使い道はフラット35だけではなく、この証明力を活用して、火災保険・地震保険の割引(フラット35S耐震)なども利用することができる場合があります。地震保険の割引制度をご覧ください。
旧耐震のローンをを不可とする銀行でも、フラット35の適合証明が取れることでローンを可とする銀行も一部あります。例えばスルガ銀行などです。
マンションの基準適合の見分け方
フラット35が利用できるか否か販売用資料には書いていないことが多く、検討に迷うところです。技術基準があり、その趣旨を知れば、ある程度の目安を考えることはできます。以下にご案内をいたしますので、目安としてお考えください。
くわしくは、こちらをご確認ください。
住宅の定義
住宅とは、2以上の居住室(家具等で仕切れる場合も可)、炊事室、便所、浴室があり、独立した生活を営むことができるものです。
2以上の居住室とは1室のお部屋と食事室(1DK)だったり、1室を固定された家具や間仕切りで区切って2室利用にしたものも含みます。間仕切りを設置する場合はパーテーションやキャスターで移動できる家具は含みません。
下記の説明でもわかりにくいと思いますが、形状としては、羊かん形状(立方体)で一階に壁があることです。管理体制としては、長期修繕計画があり、管理規約があることです。
転貸、定期借地権は利用できませんが、一般的な借地権であれば、販売金融機関により差がありますが、利用できます。
耐震
- 耐震が良好であること(昭和56年6月1日以降の物件は新耐震とされ、自動的に耐震は良好です)
- 新耐震でない場合には以下に合致すること
- 構造形式がラーメン構造と壁式構造の併用されていないこと
- 平面形状が著しく不整形でないこと
- セットバックが大きくないこと
- ピロティを有する場合には建物すみ部分(出隅)が独立柱になっていないこと。
- 管理規約が定められていることと
- 対象とする期間が20年以上で、現在、有効な長期修繕計画が定められていること
- 主要構造部を耐火構造とした住宅であること
- 準耐火構造(省令準耐火構造の住宅を含む)の住宅であること
- 木造、S造、RC造それぞれに応じた耐久性基準に適合する住宅であること
- ア建物の形(整形、不整形の評価)
- イ壁の配置(壁のバランスの評価)
- ウ筋かい等の有無(壁の強度の評価)
- エ壁の割合(必要壁量に対する充足率の評価)
管理体制
一戸建ての基準適合の見分け方
フラット35が利用できるか否か販売用資料には書いていないことが多く、検討に迷うところです。技術基準があり、その趣旨を知れば、ある程度の目安を考えることはできます。以下にご案内をいたしますので、目安としてお考えください。
住宅とは、2以上の居住室(家具等で仕切れる場合も可)、炊事室、便所、浴室があり、独立した生活を営むことができるものです。
くわしくは、こちらをご確認ください。
所定の耐久性が満たされたもの。木造の住宅については、外壁に接する土台を木造とする住宅は詳細の規定があります。
耐火・耐久性
耐震性
維持管理の基準
一戸建て住宅の場合には、土台、床組等に腐朽や蟻害がないこと、マンションの場合においては外壁、柱等に鉄筋の露出がないことなどが基本です。
フラット35の床面積などの制限
フラット35が利用できる物件には面積制限があります。上限の制限はありません。
マンション
マンションの床面積の下限は壁芯面積で30.00㎡を超えていることです。壁芯面積とはパンフレットなどに書いてある「専有面積」のことです。
床面積の裏知識
マンションの場合では、物件によっては壁芯面積が不明な場合もあります。その場合は登記簿に記載の面積(内法面積)に対して1.06倍をした面積を壁芯面積に相当するものとして取り扱うことが可能です。具体的には、28.31㎡以上あるとフラット35では取り扱いが可能となります。
物件により、まれにパンフレット面積では30㎡を下回るが、登記簿面積で28.31㎡以上あるという物件もあります。登記簿面積で規定以上あれば取り扱う金融機関もあるとのことなので、微妙なラインの場合はご相談ください。
たしかに、登記簿面積は資格がある人が計測した面積で、正味の生活部分ですので、でたらめな数値ではありません。その意味では登記簿面積を基準に考えるのは、合理的な判断かもしれませんね。
一戸建て
一戸建てや長屋造では70㎡以上が要件となります。一戸建ての場合、登記面積と壁芯面積は合致しますので、差を心配することは不要です。
併用住宅の住宅部分の床面積は全体の2分の1以上が必要です。併用住宅とは店舗・事務所・作業所など業務に使用される部分と居住の用に供される部分とが結合した住宅。(例、店舗付住宅・事務所付住宅など)です。
敷地面積
2021年時点では、敷地面積の制限はありません。