住宅ローンの審査と必要書類
ローン審査には「事前審査」と「本審査」があります。おおむね同じ審査をしているのですが、事前審査はコピーでよいのに対して、本審査で原本が必要となります。
お客様が揃えるべき必要書類は身分関連・収入関連のものです。不動産関連のものは不動産業者が提供してくれます。
ご職業タイプ・勤続年数、債務の状況などによっても必要書類が変わりますので本文をご確認ください。
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author:春日秀典
事前審査と本審査
事前審査
事前審査は金融機関が行ってくれるサービスです。
購入予定の物件が決まれば事前審査ですが、審査の結果は通常2日から1週間程度で出ます。銀行等の金融機関では、当社が窓口になって金融機関に持ち込みます。審査の観点は、収入の継続性、収入と返済の関係、物件の担保評価を金融機関は確認しています。伝統的な通常の金融機関であれば、事前審査の結果は本審査で変わることはありません。伝統的ではない金融機関は事前と本審査で変化が出る場合があります。
本審査
売買契約を締結すると本審査です。本審査では団体信用生命の審査が加わります。審査結果がでるまでには1週間弱程度です。
なお、ネット系の銀行、フラット35は、しばしば本審査で結果が変わることがあるため、事前審査は参考程度とされ、あまり尊重されていません。本審査に進む場合があります。
まだ物件が決まってない人は
物件が決まっていない場合は審査ができませんので、まずは物件をお探しください。一般の不動産広告はもちろん、当社の仲介手数料無料の検索やサービス利用・手数料の見積もりなどを利用できます。
必要書類の早見表
下記に必要書類をご案内しますが、これらの書類は事前審査で必ず必要になりますので、もうご準備を始められてもよいでしょう。なお、事前審査の段階ではすべて、コピーで可です。原本は本審査のために保管しておいてください。かいつまんで、ローン事前審査の必要書類を一覧にしました。詳細は続けて記しております。
基本は押印を要しますので、印鑑を忘れないでください。事前審査では三文判でも構いません。
<<事前審査の必要書類>>
正社員の方 | 源泉徴収票 身分証明(写真付き) 健康保険証 |
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(正社員)勤続の短い方 | 入社以後の給与明細 職歴書 昨年の源泉 身分証明(写真付き) 健康保険証 |
(正社員)小規模の企業にお勤めの方 | 源泉徴収票 会社案内等(業務内容がわかるもの) 身分証明(写真付き) 健康保険証 |
(正社員)同族企業にお勤めの方 | 源泉徴収票 会社案内等(業務内容がわかるもの) 身分証明(写真付き) 健康保険証 会社の3期分の決算書 |
契約・派遣・パート社員の方 | 源泉徴収票(1~2期分) 雇用契約書(雇い入れ通知書) 勤続期間が分かるもの(更新契約書などが基本) 身分証明(写真付き) 健康保険証 |
自営の方 | 確定申告書の控え(3期分) 身分証明(写真付き) 健康保険証(※⇒自営業の方の住宅ローン) |
会社経営の方 | 源泉徴収票(3期分) 会社の決算書の控え(3期分) 身分証明(写真付き) 健康保険証 |
国家資格があるかた | 免状等 |
課税証明は市区町村の課税課でとることができます。納税証明は国の税務署で取れます。
いわゆる正社員の方
正社員である場合には、原則として雇用契約書の提示は必要ありません。健康保険証で勤務先が記入がありますので金融機関はそれで確認をしています。正社員には、「雇われ経営者」の方も含みます。
すべての正社員に共通
- 事前審査
- 源泉徴収票(1~2期分)
- 身分証明(写真付き。免許証・保険証)
- 健康保険証
- 印鑑(認印可)
- 本審査
-
- 住民票(世帯全員・個人番号なし・本籍無し)
- 実印
- 源泉徴収票原本
- 課税証明
通常期は源泉徴収票は1年分で間に合います。課税証明が更新される時期より前の場合(1月~6月を指します)、金融機関によっては、前年度、前々年度の源泉徴収票を要求する金融機関もあります。
住民票は「世帯全員」「本籍なし」「個人番号なし」で請求してください。押印は実印で行いますので、この時点までには印鑑登録が必要です。
勤続1年未満(源泉徴収票に記載された収入が1年未満の場合)
対象となる銀行は限られますが、ご勤続が1年未満でも住宅ローンは可能です。
- 事前審査
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- 身分証明(写真付き。免許証・保険証)
- 健康保険証
- 昨年の源泉徴収票
- 入社後から現在までの給与明細
- 経歴書
- 印鑑(認印可)
- 本審査
-
- 住民票(世帯全員・個人番号なし・本籍無し)
- 実印
- 源泉徴収票原本
- 課税証明
給与明細を用いて月収の平均値を計算して年収を逆算します。最低3か月分は必要です。賞与(ボーナス)があれば賞与の分も加算します。産休・育休などの事情で復職された場合も同様に扱うことがあります。
経歴書は転職活動で使う職歴書のようなものが必要で、簡単な略歴をご記入いただきます。金融機関の書式を使います。
勤続1か月未満の方
ある程度の優良企業などならば、最近では勤続が1か月未満でも対応してくれる銀行があります。
- 事前審査
-
- 身分証明(写真付き。免許証・保険証)
- 健康保険証
- 昨年の源泉徴収票
- 勤務先のオファーレターなど収入内容がわかるもの
- 経歴書
- 印鑑(認印可)
- 本審査
-
- 住民票(世帯全員・個人番号なし・本籍無し)
- 実印
- 源泉徴収票原本
- 課税証明
小規模企業にご勤務の方
- 会社の業務内容が分かるもの
ご勤務先の情報については、金融機関は帝国データバンク等の信用調査会社の情報を確認することがあります。むろん、このような信用データベースに未掲載の会社様もローンに心配はありませんが、会社案内、謄本、ホームページの情報などの提出を求められる場合があります。
同族企業にご勤務の方
- 会社の2~3期分の決算書
同族企業とはファミリー経営の会社のことです。同族会社にご勤務していても、一族ではない方は、普通の正社員扱いです。一族のメンバーとして同族企業にご勤務の場合は、一般社員であっても、会社と家族が一体で特別な関係とみられます。そのため、会社の決算内容が確認を希望される場合があります。
副業のある方・複数勤務先のある方・控除のある方
最近では副業を認める会社も増えてきました。私が経験したケースですと、研究者・学者、医師、芸術家などの方では、第二勤務先がある場合があります。
- 事前審査
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- 身分証明(写真付き。免許証・保険証)
- 健康保険証
- 確定申告
- 昨年の源泉徴収票※
- 印鑑(認印可)
- 本審査
-
- 住民票(世帯全員・個人番号なし・本籍無し)
- 実印
- 納税証明(その1・その2)
ご自身で確定申告をした場合では、源泉徴収票の「所得」と課税証明の「所得」に差異が出ます。この場合も、当該年度の納税証明(その1・その2)を取得いただきます。よくるケースでは「医療費控除」「ふるさと納税」などです。
副業のある方・複数勤務先のある方がある場合には、すべての収入を確認しなければなりませんので、事前審査の段階では提出すべき源泉徴収票と同じ年度の確定申告書をご提出ください。主な勤務先の源泉徴収票だけですと、後日提出する「課税証明」「納税証明」に記載のある収入との間に差異が出てきますので、差異を明らかにする必要があります。
必要な年度は金融機関の求めによりますが、会社などの安定的とされる勤務先でしたら通常は直近1年です。公印が押された確定申告書(メール詳細があるものを含む)であれば、源泉徴収票も不要です。源泉徴収票は税務署に提出していることが前提になっているからです。
契約社員・派遣社員・パート社員の方
いわゆる非正規雇用の方も住宅ローンは可能です。もしあきらめモードでしたら奮ってご相談ください。なお、契約期間や勤続年数(安定性)など、雇用条件に一定の条件がある場合がありますので、ご相談ください。
契約社員の方
期間1年の契約社員の方は住宅ローンの対象になることは多いです。
- 事前審査
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- 身分証明(写真付き。免許証・保険証)
- 健康保険証
- 源泉徴収票(1~2期分)
- 期間内の雇用契約書
- 勤続期間が分かるもの
- 印鑑(認印可)
- 本審査
-
- 住民票(世帯全員・個人番号なし・本籍無し)
- 実印
- 課税証明
派遣社員の方
金融機関にもよりますが対応できます。
- 事前審査
-
- 身分証明(写真付き。免許証・保険証)
- 健康保険証
- 源泉徴収票(1~2期分)
- 条件通知書
- 印鑑(認印可)
- 本審査
-
- 住民票(世帯全員・個人番号なし・本籍無し)
- 実印
- 課税証明
パート・アルバイトの方
フラット35の審査に通る可能性があります。
- 事前審査
-
- 身分証明(写真付き。免許証・保険証)
- 健康保険証
- 源泉徴収票(2期分)
- 雇用契約書
- 印鑑(認印可)
- 本審査
-
- 住民票(世帯全員・個人番号なし・本籍無し)
- 実印
- 在籍証明
- 課税証明
勤続期間が分かるものの代表例は健康保険証ですが、交付年月日から勤続年数が分かります。保険証が変更されていたり、国民健康保険の場合には、入職時から現在までの雇用契約書の控えがあればよいでしょう。雇用契約書も紛失している場合は、ご勤務先に、金融機関所定の書式の「在籍証明」を発行してもらうことで対応してもらえる場合があります。
自営業・会社経営者の方の場合
自営業の方
- 事前審査
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- 身分証明(写真付き。免許証・保険証)
- 健康保険証
- 確定申告の控え(2~3期分)
- 印鑑(認印可)
- 本審査
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- 住民票(世帯全員・個人番号なし・本籍無し)
- 実印
- 納税証明(その1・その2.2~3期分)
確定申告の控えは申告書のほかに、収支内訳書や青色申告書も必要です。申告書は受領した公印がスタンプされているものが原則ですが、e-taxで申告されている場合は「メール詳細」のプリントアウトで対応できます。
自営の方々に向けのローンについての説明は、自営業の方の住宅ローンの記事も作成しました。ぜひご覧ください。
会社経営者の方の場合
事前審査で提示した源泉や決算書とリンクする年度の書類を原本で提示します。役員報酬としての源泉徴収票と経営されている会社の安定性を確認するため決算書を要求されます。債務超過では対応しない銀行もあります。
- 事前審査
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- 身分証明(写真付き。免許証・保険証)
- 健康保険証
- 源泉徴収票(2~3期分)
- 決算書の控え(2~3期分)
- 印鑑(認印可)
- 本審査
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- 住民票(世帯全員・個人番号なし・本籍無し)
- 実印
- 法人の納税証明(その1・その2.2~3期分)
- 個人の課税証明
資格にもとづくご職業
雇用形態にかかわらず、国家資格にもとづくご職業は資格を証するものの写しを提示します。多くの場合、いわば「どこに行っても食える」と認識してもらえますので、著しいプラスです。
既存のローン(住宅、教育、その他)の借入がある場合
目的性のあるローン
目的性のあるローンとは利用用途が明確なローンです。自動車ローンなどを指します。住宅ローン以外の既存のローンがあっても、返済比率に合致していれば問題ありません。
自営業の方の事業用の借入は返済比率から除外する金融機関もあります。
- 事前審査
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「毎月の返済額」「残高」「完済予定日」「利率」や、「借入開始日」「当初の借入額」がわかるものです。契約時に交付された「償還表」や、毎年送付される返済予定表などが該当します。ネットで提供されている場合は画面をプリントアウトします。
- 本審査
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厳密な金融機関では「完済証明」を徴求される場合があります。
使途自由のローン
金融機関により重視度はことなりますが、カードローン、フリーローン、消費者ローンなどのお借入れがある場合でも、住宅ローン以外の既存のローンがあっても、返済比率に合致していれば対応できます。ブランドを申告していただき、残高が分かるものを提示します。
ローンの契約と決済
ローン申し込みなどと違い、ローン契約そのものは不動産業者はもちろん、ご親族でも代理はできません。借入者であるお客様が金融機関に足をお運びいただきますローンの契約に要する時間はおよそ1時間~2時間です。詳しくはローン契約の流れのページで解説しています。
ローン契約の前後の準備
ローンの契約の前にはローンの住民票・印鑑証明の取得が必要です。登記を行う住所地の住民票、印鑑証明を当日ご持参いただきます。2~3通です。多くのケースでは、一般的には新居を住所にして契約することが多いようですね。また、ローン利用口座の作成などの準備が必要です。ローン契約後は口座宛に、自己資金の移動が必要です。
ローン契約時に住民票を移していない場合は、遅滞なく住民票を移すことが必要です。ローン控除の手続きは、年末に近づくと残高の証明書が金融機関に送られてきますので、それを活用して確定申告の時期に行います。
また、売買契約をしたあと、ローンの本審査・本契約の時期を活用して、諸般の手続きを行います。耐震基準適合証明の取得などはその一つです。
電子契約
ネット銀行ではローン契約をオンラインで行います。一つの例として、auじぶん銀行のローン契約の流れをご覧ください。
大手銀行でもオンラインで対応できる金融機関が増えてきました。例として、りそな銀行の電子契約の流れなどをご覧ください。