大手仲介業者から囲い込みを受けたケース

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元付業者が囲い込みをしないと明言する戦略ならば、売主の損失は少なくなる可能性がありますが、囲い込みをしないと明言する会社は極めて少ないのが実情です。

正しい販売戦略を実行すれば、大手の仲介業者さんも仲間にすることができます。すべての不動産業者の取扱客がターゲットになります。したがって、取扱客・見込客の数という概念が不要になります。

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囲い込みはどんな風に展開するのか?

囲い込みは罰則もないので、大手も含め、横行にしていることも事実です。当社が経験したことを物語風にご紹介します。日常的に我々が体験・経験していることを、少しイメージしていただければと思います。当社が体験した話を紹介します。物件価格は事実と少しずらしていますが、囲い込みをされたお客様の実話です。登場人物は2人の仲介業者です。

実録「不動産の囲い込み」

年度が押し迫ったある日。8,880万円の中古マンションに対して、転勤のため住居を確保したく早々に購入したいと、遠方からの反響をもらいました。

お客様:実は、前の出張のときに現地も見ていて、いろんなサイトを比較して、ほぼこの8,880万円の部屋がええかなと思うてます。

当社:そうなんですね。お問い合わせありがとうございます。

お客様:ほんとのこと言いますと、最初は広告を出している元付業者に最初は問い合わせしたんです。けど、対応がどうもスローでアカンので。新人で要領を得ないんですかね?

当社:なるほど。怪しい部分も感じますが、まずは状況を調べてみます。

調べてみると、現時点での物件広告は元付業者からのみ。このタイプは囲い込みの可能性が高いので、話の流れに不安はありました。

ただ、その物件は売出開始から6か月。この時期なら、元付業者も囲い込みしないかもしれないと思うことにました。客付けとしてさっそく担当者にアプローチします。

当社:「○○ハウス8,880万円ですが、ご紹介可能でしょうか?」

元付の担当者:「この物件は買い替えの売主さんのため、来週には内見可能になります。」

当社:「急ぎ購入を前提に内見したいとのことですが、東京の方ではないので、内見可能になる前に、まず事前審査を先にやりたいと考えています。資料を送っていただきたいのですが、よろしいでしょうか」

元付け業者の担当者:「承知しました」

・・・さて、土日を挟んで待つこと3日。資料は来ません。きっと忙しいに違いないと思い、申し訳ないと思いつつ、確認の電話をします。

当社:「資料はいかがでしょうか?」

元付の担当者:「忘れていました!送ります!」

と。しかし。火水を挟んでさらに3日待っても資料は来ません。これは囲い込み確定か。

この時点では結末を知る由もありませんので、忙しかっただけの可能性も考えました。いずれにせよ、この状態では物件を囲い込んでいるのと同じです。状況を報告して手を引きました。

囲い込み例1
その時の販売図面です

その後、思い出したのでレインズをチェック。物件は売れてなかったようで、2か月後、なんとその物件は8480万円に価格改定。意図的な囲い込みだったのかもしれません。売る気がないのですから、お話の一番最初の「対応があかん」というのも符合します。

ただ、この価格でやっと申込が入ったもようです。

当社:「400万ダウンか。ちょっとまぁ売主さんは気の毒だけど、選んだ相手が悪かったか・・」

※このストーリーはもっと続きがありますが、気持ちが暗くなるというお客様からのコメントがありまして、割愛いたします。かいつまんで言うと、最終的には売主さんは、買取業者へ物件が卸されていきました。金額に当事者のみが知りますが、通常は相場の1~2割ダウンで売られていると想像します。

囲い込みをする会社には近づかない

さて、いかがでしたでしょうか。これは珍しいケースかというと、そうではありません。元付業者は大手の仲介業者でした。このケースならば、元付業者が囲い込みをしないと明言する戦略ならば、売主の損失も少なくなったでしょう。売主として囲い込みない業者を避けるのはたいへんなのがわかります。

ただ、囲い込みをしないと明言する会社は極めて少ないのが実情です。当社ももう少し有名なら、影響を及ぼせたのですが、力不足を感じます。

ちなみに、囲い込みをする会社には、できれば近づきたくないところですので、売却で避けるべき業者のチェックリスト(メールアドレスだけの匿名、無料ダウンロード)を作成しました。よろしかったらご活用ください。

囲い込みのないセールスの展開

実際に、囲い込みがないと、どのように商談に展開されていくかご興味はありませんか?時間は圧縮していますが、こちらも実話です。最初の売り出し価格からの10万円引きで収まったのですから、売主さんが無事勝利を収めたストーリーと言ってもいいと思います。

売主が勝利したケース

ある年の8月のとある日。郊外に近い下町の一戸建てを販売していました。

この内見依頼書が届く。広告依頼はされていない。しかも炭友さんという有名企業。川崎?神奈川?大手?

炭友さんはたまに広告依頼があるけど基本は地元。けど川崎からの内見依頼は珍しい。ほどなく電話が入る。

川崎の客付け業者:「今週末の内見13時に内見依頼をお願いします。」

元付け業者:「承知しました。」

大手は自社物が豊富なはずだが珍しい。そもそもなんで川崎から?冷やかしなのかな? 遠方から冷やかしにわけないし。。。。

早速お客様にラインで報告。

元付け業者:「今週末の13時に内見依頼です。よろしくお願いいたします。」

売主様:「承知しました。」

当社:「そういえば、もう販売開始から2か月半ですね。8件目の内見依頼です。他社からの広告依頼は15社あって、6社がスーモに掲載してくださっています。市場性は悪い印象ではないと思います。」

売主様:「うん。スーモは見てるよ。これタイミング。焦っちゃダメと思ってるよ。」

元付け業者:「はい。我慢かなと・・・。だいたい1~2週間の間に1件は内見で、多くはありませんが、典型的な販売期間のペースです。広告をしてない会社も含め、物件情報は認知されて拡散していると思います。焦らなくてよいと思います。」

売主様:「はい。私もそう思っています。」

売主さんは外国人の方。当社からのウェブサイト上の売却活動の状況報告ページを見てくさっている。これが日本で(同時に人生でも)2度目の不動産の売却とのこと。賢明な方なのでなんとなく要領はつかんでいるらしい。

ぶっ飛んだ高額査定ではないが、駅から遠い物件なので、スパッと決まることはないとは承知してくれているようだ。しかし内見の流れはおおむね途切れていないので、焦らないでよいという意見にも同調してくださる。むしろ条件を考えると、集客はむしろやや良い感じかなとも思える。

内見の当日。

元付け業者:「販売図面をご覧ください。南側が通路になっています。これが6mの道路があるのと同じで、事実上、日当たりがいいですね。」

検討者様:「なるほど。こういう感じだったんですね。わかりました。」

客付け業者:「ところで、周辺との境界はどうですか? 一応、そのあたりを確認したいです。」

元付け業者:「それはこちらからご案内します。(資料を見せながら)ちなみに資料は当社のサイトにアップしてます。業者さんは、申請により取得いただけます。お客様用には、そちらからダウンロードしてみてください。」

客付け業者:「承知しました。」

元付け業者:「ちなみに、どうして川崎の業者さんが下町のご案内を?」

客付け業者:「お客さまと私の奥さん同士がお友達なんです。御社が他社に対しても広告を許可されているので、囲い込みではないと感じました。」

元付け業者:「なるほど(笑)」

不動産の縁はどんなところから来るかわかりません。翌日、客付け業者さんから物件資料の閲覧申請が来ていた。許可をした。資料を色々ダウンロードしたみたいです。

3日後には別の業者さんから1社内見の申し込みが入ったが、週明けには、なんと、以前に内見した川崎の業者さんから買付申込がありました。以前の資料の請求は、申込みまで想定していたのか。

客付け業者:「お客様は地元の会社の同族企業の役員さんです。当方で事前審査の依頼を受け付けていますが、地元に信金さんにも依頼する予定です。これはお客様から申請します。」

元付け業者:「わかりました。引き続きよろしくお願いいたします。」

聞けば自己資金は豊富。信金はぜひにとのこと。フォローは必要かもしれないけど、流れ的にはこれで決まるイメージかな。。。

囲い込みがなければ大手も中小も味方に

お気づきの通り、このストーリーの元付業者は当社です。客付け業者は、日本で3本の指に入る大手の仲介業者さんでした。

このように、正しい販売戦略を実行すれば、大手の仲介業者さんも仲間にすることができます。

囲い込みをしない業者ならば、手持ちの客数(取扱客の数)という概念は無関係です。全ての不動産業者が紹介できるのですから、すべての不動産業者の取扱客がターゲットになるからです。

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この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。ヤマト住建(株)等OB。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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