一般・専任・専属のメリットやデメリット

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一般媒介は1社に縛られず、複数の仲介業者に売却活動を依頼できます。しかし広告が広らず、囲い込まれるリスクもあります。販売状況のレポート義務もありません。

専任媒介、専属専任媒介は1社のみに売却活動を依頼する形態です。売却失敗のリスクもある反面、何社も管理する必要がないので、信頼できる業者がいれば、こちらの方が楽でしょう。

一般媒介なら広告が拡散できると思われがちですが、むしろ「囲い込みをしない」「広告可が前提」を明言する業者に対して、専任・専属で依頼するほうが拡散できます。

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媒介契約について

媒介とは、不動産の購入売却・賃借を不動産業者に依頼するときに結ぶ契約の一つです。専任度によって、一般媒介、専任媒介、専属専任媒介に分かれます。仲介と同義語といえます。

なお、不動産の売却・購入の委託形態には、ほかに「代理」というものがあります。リンク先でご覧ください。

brokerage

不動産媒介契約の種類

媒介契約とは売却委託の契約のこと

物件の売主と不動産会社が、売却の売却委託を取り交わす契約を、媒介契約といいます。媒介契約においては、不動産会社が契約内容(委託内容)を記載した書面を作成し、売主に交付するように宅地建物取引業法により義務づけられています。

媒介契約は、物件の内容、不動産会社の業務と義務、媒介契約の種類、契約の有効期間、レインズへの登録の有無、仲介手数料などの内容が明確に記載されていますが、この契約の内容は国土交通省が標準的な約款を提案しています。各不動産業者はこれに基づき契約書を作成しています。参考としてご覧ください。

国土交通省が示す標準約款
https://www.mlit.go.jp/common/000006576.pdf

媒介契約の形態には3つのパターンがあります。一般媒介、専任媒介、専属専任媒介です。この形態を「取引態様」ともいいます。取引態様の違いは、不動産業者の義務の違いに特徴があります。それぞれ後述をご覧ください。

一般媒介

依頼者が、同時に何社とでも媒介契約を結ぶことができます。また、依頼者は、売買などの契約の相手方を自ら発見して契約を締結することができます。

専任媒介

依頼者が、依頼した宅建業者以外の宅建業者に重ねて媒介や代理を依頼することを禁止したものです。宅建業者は、依頼を受けてから7日以内に指定流通機構(レインズ)に物件登録をしなければならず、2週間に1回以上の報告(業務処理状況)義務を負います。報告は口頭・書面のどちらでもよく、有効期間は3ヶ月で、依頼者側から更新できます。

依頼者は、売買などの契約の相手方を自ら発見して契約を締結することができます。

専属専任媒介

依頼者が、依頼した宅建業者以外の宅建業者に重ねて媒介や代理を依頼することを禁止したものです。宅建業者は、依頼を受けてから7日以内に指定流通機構(レインズ)に物件登録をしなければならず、1週間に1回以上の報告(業務処理状況)義務を負います。報告は口頭・書面のどちらでもよく、有効期間は3ヶ月で、依頼者側から更新できます。

なお、依頼者は、売買などの契約の相手方を自ら発見して契約を締結することができません。

購入時の媒介契約

仲介で不動産を売買するということは、売却のみならず、購入でも媒介契約を締結します。実務においては、多くの場合、売買契約の時期のころに書面として媒介契約を締結することが多いと思います。ただし、そうする業者が少ないだけで、書面として媒介契約を締結する行為は売買契約の時期である必要はありません。それ以前でも締結は可能です。

買うという意味においては一般と専任(専属専任)では差がないことから、一意の物件に特定された段階で媒介契約を締結する場合では、一般媒介契約を締結することが多いと思います。購入の媒介契約ではあえて専任媒介契約を締結する契約は聞きません。

むろん、購入申し込み、価格交渉、ローン付けなど、媒介契約を締結する以前にも貢献は進んでいる場合もありますが、ここではそれを論じません。

委託形態による違い

3つの媒介契約について、違いを簡単にご案内いたします。

委託可能な会社の数

一般媒介 複数の不動産会社に委託可能
専任媒介 1社の不動産会社のみに委託可能
専属専任 1社の不動産会社のみに委託可能

営業活動には広告費や調査費などがかかりますので、1社に専任で委託する方式と複数の不動産業者に委託できる方式で差別しています。

買主の自己発見の可否

一般媒介 売主が買主を見つけて契約できる
専任媒介 売主が買主を見つけて契約できる※
専属専任 自己発見取引は不可

不動産会社の報告義務

一般媒介 報告義務はない
専任媒介 2週間に一回以上の報告
専属専任 1週間に一回以上の報告

営業活動状況を報告することです。

レインズの掲載義務

レインズ

一般媒介 掲載義務はない
専任媒介 媒介契約締結の後、7日以内にレインズへ登録
専属専任 媒介契約締結の後、5日以内にレインズへ登録

レインズとは国土交通省が指定する不動産流通機構です。業者間の不動産情報ネットワークの役目を果たしています。

一般媒介の特徴

多数の不動産業者をコントロールする必要があり、手間は多くなりますが、複数の会社に仲介を依頼できるので、うまく使いこなせば、会社間の競争が機能します。囲い込みの不正をしにくくなります。

一般媒介が向く人

どうしても「大手」に依頼したい人には一般媒介が向くかもしれません。大手では、専任で任せると担当者によっては囲い込みをするリスクがあります。営業偏重の大きな会社では、社内での競争が厳しく社内がライバルだからです。大手を活用したいけど、強制的に物件をオープンにさせたいのであれば、一般媒介は役に立ちます。

状況によっては、あえて囲い込みを許容する人もいるかもしれません。そのような方にも向いています。

囲い込みのリスク

上記の「違い」にてご説明した通り、販売状況の報告義務とレインズの登録義務がありません。不動産会社がどのように活動しているか分かりづらいくなります。

レインズに登録することによる物件情報の拡散が期待できません。ある程度、不動産業について知識あると、多くの業者に依頼しようとして一般媒介を選択されるお客様もいますが、意外と伸びません。逆に、多数の不動産業者をコントロールする必要があるため、手間が増えます。あえて囲い込みを許容する場合以外においては、単独一社での一般媒介は極めて危険です。

一方で、複数社に依頼する場合では気を付けなければなれあないことはあります。よく言われるのは、一生懸命やらなくなるという可能性です。単に広告を打たないという問題でなく、たとえば、必要な物件調査すら怠る業者も出るようになります。必要な調査をお答えれば、購入検討者の細かい質問には答えられなくなります。そのため、面倒な質問が来たら、「ほかに検討客がいる」などと、意図しなくても囲い込みと同じ状態になります。こうなると、即断即決をしてくれる一部のお客様しか検討ができなくなり、苦戦は免れません。

ただ、囲い込み懸念がある業者でも、複数の大手に依頼すれば、囲い込むメリットが一切なくなるため、一般媒介による囲い込みの心配は無用でしょう。大手であれば、一般媒介でもどこかはレインズに登録するようです。知名度などの信頼性から、どうしても大手に媒介を依頼した人は一般媒介を検討してみる価値はあります。

専任媒介・専属専任媒介の特徴

専任・専属専任の特徴

不動産会社の責任を厳しく認めています。たとえば報告頻度が多く設定されています。売主が販売状況を把握しやすいのがメリットです。

専任・専属専任に向く人

信頼できる不動産会社(営業マン)に出会えた場合であれば、専任・専属専任の方が向いていると思います。

打ち合わせをする相手は一人の不動産業者・担当者で、その会社型の不動産会社の窓口になります。窓口が一本化できますので、信頼できて、当社のように囲い込みをしない会社であれば使い勝手はいいと思います。

デメリット

1社に任せる体系ですので、力量次第で売却の時期や金額が左右されます。複数の依頼先ではないため、悪質な担当者に捉まると囲い込みをされてしまうこともあります。買取保証などが絡まると、売主にとっては最悪のケースになることもあります。

購入の専属専任媒介

購入時の専属専任媒介についてのご質問を受けたことがあります。
この記事の冒頭で説明のとおり、媒介契約に効力の差はありません。当社では一般媒介の契約を締結するようにしており、多くの業者がそうしていると思いますが、それ自体は違法ではありません。

ただ、違法ではないにせよ、違和感が感じる行為ではあります。『売主さんが「やんちゃ」で仲介業者さんが売主さんを信頼していない』のか、『仲介業者さんと買主さんとの信頼関係が薄い』のか、『過去に何かトラブルがあった』のか。なにか背景がないとそういう動きにはならないように思います。

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この記事の作者

2010年から(株)ロータス不動産代表。ヤマト住建(株)等OB。宅地建物取引士、公認不動産コンサルティングマスター他。早稲田大(法)95年卒。在学中は早大英語会に所属。

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