不動産取得税と軽減措置

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不動産取得税とは、不動産を購入したときに課される1回限りの税金で、都道府県税です。

自己の居住用の不動産については、不動産税制は優しくなっていて、不動産取得税においても軽減措置を受けられる場合があります。

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※この記事は東京都内の場合です。

不動産取得税

不動産取得税とは?

不動産取得税とは、売買等で不動産(住宅)を取得したときや、新築・増築したときに都道府県が課税する地方税です。取得時に1度だけ課税される税金です。取得とは名義変更の時期のことです。売買契約を締結した時点ではありません。

不動産取得税の納税は、取得してから6ヶ月から1年半くらいの間に各都道府県から届く「納税通知書」を使用して金融機関やコンビニで納付します。なお、納期は各都道府県により異なります。不動産取得税は個人、法人を問わず課税されます。

不動産取得税の計算

不動産取得税は次の式で計算することができます。

取得した不動産の課税標準額×3%=税額

ちなみに、課税標準額とは実際の売買価格ではありません。課税標準額とは固定資産税などの課税のために都道府県の役所で計算した不動産価格で、北は北海道の弁天島、南は沖ノ鳥島まで日本国内に存在するすべての不動産に対して、課税標準額を計算して金額の付与をしています。これをもとに固定資産税が決まります。


右側の格子内に書かれた課税標準額に対して3%を乗じます。

不動産取得税の推計(マンションの場合)

正確な課税標準は都道府県の課税部門が発行する「評価証明」を確認しなければ把握できませんが、課税標準を推計することで、不動産取得税を推計することも可能です。

マンションですと、価格に占める割合のうち、家屋部分の割合が多い不動産です。建物価値を推計できれば、ネットなどの簡単な調査から、ある程度は推計することも可能です。以下に簡単な方法を記します。マンションでは、共用部分についても持分に応じて税額を負担します。

建物の推計

1)建物の課税標準額の近似値を求めるには、まず、「東京法務局管内新築建物課税標準価格認定基準表」記載(下にリンクのpdf)の新築時の単価を調べます。これは登記の課税標準です。しかし、お互い公的機関のデータでから、近いものとなっていると思われます。このデータの共同住宅の行を参照します。構造ごとに金額が違うので注意。

http://www.lotus-asset-and-property.com/ninteikijunhyou.pdf

2)新築時から経年減点補正率を調べる(リンクのpdfの2ページ目にあります。)

3)調べたい物件の面積を乗じます。なお共用部分も負担対象ですから、適宜5平米~15平米ほど加算しなければなりません。共用部が大きいマンションは大きめに。少ないマンションは小さめに加算します。

4)算出された課税標準額に対して、税率の3%%をかけます。

例)鉄筋コンクリート造、築20年、60平米の場合
鉄筋コンクリート造の共同住宅の新築単価=139000円
築20年の経年劣化率=0.5013
60平米のマンション=共用部分も適宜加算して、70平米程度
→139000円×0.5013×70×3%=146,329円

土地の推計

土地の課税標準額は路線価から推計します。路線価から0.8で割って、0.7を乗すると課税標準に近くなると言われています。そこで、
(路線価×土地面積)/0.8×0.7=課税標準の推計

ここで課税標準に持分を掛けて、3%の税率を乗せると、不動産取得税額の近似値を得ることができます。なお、令和6年までは住宅の不動産取得税は面積に関係なく2分の1の軽減率があります。

課税標準×持分×3%÷2=不動産取得税額

路線価は以下のページで調べることができます。
http://www.rosenka.nta.go.jp(国税庁のサイト)

例えば、令和3年に台東区三筋1-4-15で、350平米の土地で、持分30分の1のマンションの土地の不動産取得税は、以下のように計算が可能です。

{(57万×350平米)÷0.8×0.7×(1/30)}×3%÷2=87281

不動産取得税の軽減措置

東京都における不動産取得税の軽減では、以下の3点の要件を備える必要があります。

軽減措置の対象物件

居住要件

個人が自己の居住用に取得した住宅であること

東京都における運用では、通達によって、中古住宅を取得した場合において、複数の共同名義となっている場合、共同名義人のいづれかが居住者であれば、軽減措置の効果は取得者全体に及ぶとされています(※耳寄り情報も参照。平成31年1月現在)。

  • a)新しい住所で登記をしていると、当局では自己居住であると認定できます。
  • b)新住所で登記をしない場合は、申告が必要(下記)

取得時における家屋の現況が住宅であることが必要

取得前に住宅以外であった家屋を住宅に改築・改装する場合は、取得する前に住宅とする工事が完了していること。

床面積要件

50㎡以上240㎡以下

不動産取得税でいう床面積は、登記法の床面積とはことなります。現況の床面積で判定します。マンション等では共用部分を按分した床面積も含まれます。

マンションの場合、共用部があるので、登記床面積と現況床面積は異なります。したがって、ローン控除の対象にはならないが、取得税の軽減は対応できるなどの場合もあるので注意が必要です。税務当局で認定する現況床面積は、評価証明に記載があります。

築年数要件

昭和57年1月1日以後に新築されたもの。原則として登記簿記載の築年月を参照します。

昭和57年1月1日より前の建物では、耐震基準適合証明の発行が受けられるもの(なお、証明に係る調査(耐震基準適合証明の発行のための現地調査・視認)が住宅の取得日前2年以内に終了していることが必要。

軽減措置の申告

東京都では、原則として、軽減措置がある物件に対して都税事務所にて軽減措置を適用計算してくれますので、非課税物件は納付書等の郵送はされません。ただし、申告しなければ軽減されないような場合もあります。以下のような場合です。

  • 登記時に別住所だった場合
  • 昭和57年1月1日より前の建物で、耐震基準適合証明が受けられるもの。なお、証明に係る調査が住宅の取得日前2年以内に終了していることが必要です。

申告は60日以内に申告しなければなりませんので、申告を要する物件の場合は早々の対応が必要です。申告しないままですと、登記のデータが都税事務所に行きますので、待っていれば課税されて、納付書が来ます。ただし、納付書が来た後の納税期限内に申告をすれば、軽減措置が適用されます。

就学、就職の事情により不動産取得税の居住要件を満たさない場合があるかもしれません。このような場合は、あらかじめ申告をしておき、後日、住民票等を提出することで、軽減措置の適用を受ける対応が可能です。

マンションの課税

土地が極端に広い物件などは別ですが、床面積よりも一戸当たりの土地面積が少ない場合は、家屋に軽減措置がある物件は、実務上は土地も軽減されて非課税となること多いです。

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